Jamais vu

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物語とカウンセリングー小川洋子さんと共に

      2016/07/25

『生きるとは、自分の物語をつくること』

という河合隼雄さんと小川洋子さんの

対談本があります。

 

ちなみにこの本は、

昔付き合っていた女性が別れたあとに

送りつけてきた本のひとつだったことを

さっき思い出しました。

 

えっと、そうそう。

物語とカウンセリングの話ですね。

 

この本のなかで、小川洋子さんが

こんなことを言われています。

 

“人は、生きていくうえで難しい現実を

どうやって受け入れていくかということに

直面した時に、

それをありのままの形では到底受け入れがたいので、

自分の心の形に合うように、

その人なりに現実を物語化して記憶にしていく

という作業を、必ずやっていると思うんです。

 

小説で一人の人間を表現しようとするとき、

作家は、

その人がそれまで積み重ねてきた記憶を

言葉の形、

お話の形で取り出して、

再確認するために書いているという気がします。

 

臨床心理のお仕事は、

自分なりの物語を作れない人を、

作れるように手助けすることだというふうに

私は思っています。

 

そして、小説家が書けなくなった時に、

どうしたら書けるのかともだえ苦しむのと、

人が「どうやって生きていったらいいかわからない」

と言って苦しむのとは、

どこかで通じ合うものがあるのかな

と思うのですが、いかがでしょうか。”

 

長くなってしまいましたが、

こんなことをおっしゃっているんです。

 

この言葉に共感します。

ぼくのなかで

物語の力は

「繋がっていないものの繋がりをつくる力」

にあると思っています。

 

物語のその力に救われるのではないか、と。

カウンセリングもそれに近いものです。

 

カウンセラーの心と体の状態や

どんな言葉を使うか、

どんな空間をつくっているか、

どのように接するか。

 

そのような

微細な信号が、

来てくださった人が

過去を思い出し、

現在から未来について思いを馳せるときの

物語のつくりかたに影響をあたえます。

 

『生きるとは、自分の物語をつくること』

いい本です。